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●週刊メールマガジン バックナンバー 2010年01月05日発行分 ━━━━━━━━━━━■ 週刊・建設ニュース ■━━━━━━━━━━━
2010/1/5 No.343
(毎週月曜日発行)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本工業経済新聞社
https://www.nikoukei.co.jp/
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『NEWSピックアップ』
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■「所管産業で日本経済を引っ張る」 前原国土交通大臣
国土交通省の前原誠司大臣は建設専門紙記者会の新春インタビューで、今年
は「有言実行」の年にすると宣言した。成長戦略会議の重要性を強調し、国交
省所管の産業で日本の経済を引っ張ると意気込みを語っている。PPP(パブ
リック・プライベート・パートナーシップ)の仕組みでインフラ整備に民間資
金を活用する構想を示したほか、ケア付高齢者住宅の促進についても考えを述
べた。
―新年の抱負は。
前原 テーマは「有言実行」。大臣になってから今まで打ち出してきた政策
をいかに実現していくかに重きを置きたい。それから、成長戦略会議でまとまっ
たものを、いかに有言実行して経済、景気というものへ最も目配りをした国土
交通行政をやっていくかに尽きる。「コンクリートから人へ」ということで予
算配分を変えていくことになれば、公共投資は抑制基調で推移せざるを得ない。
いかに財政出動を伴わない形での景気対策をやっていくかに力を入れていく。
観光、空港港湾の国際競争力の奪還、建設産業の国際化、インフラ整備にして
もPPPなどの手法の導入、住宅不動産市況の活性化。これらを通じて、国土
交通省所管の産業が日本の経済を引っ張る状況をつくっていければと考えている。
―景気浮揚策、国際競争力強化について。
前原 羽田の空港整備は、第4滑走路が10月に開業する。そのことによって、
31万回の離発着回数が、40万回にまで増える。成田と相談しながら、昼間に長
距離便を飛ばすような環境をしっかりつくっていきたい。一番大きいのは、観
光とのタイアップ。インバウンド(外国から日本へ)をいかに増やしていくか。
3000万人構想を打ち出した。現在が835万人程度なので、3倍以上。ア
ジア、中国を主にターゲットにして増やしていくことによって、羽田を使う方々、
あるいは容量がありながら、あまり使われていない関西国際空港を活用していく
環境をつくっていきたい。羽田の国際化については、仁川(インチョン)に取ら
れているハブ機能を取り返すということで、内際分離の今の首都圏の空港のあり
方を、成田が中心ではあるが、ハブにして拠点空港にしていく。地方空港から仁
川経由で海外に行っている方々を、どう羽田や成田に取り返していくかをしっか
り考えたい。スーパー中枢港湾については、このままいくと日本の港は世界のロー
カルになってしまう。より絞った形で中核の港を造っていく。港湾の整備予算は
減るので、その中で集中と選択をいかに進めていくかということで、荷物の奪還
をしっかり果たしていきたい。中継地としての日本の役割も模索していかなくて
はいけない。空港と同じように拠点港湾化と国際競争力の回復を果たしていく状
況をつくっていきたい。
―ゼネコンの海外進出については。
前原 国内での公共投資は減っていかざるを得ない。人口減少、莫大な借金、
そしてこれから維持管理にかなりの予算が取られる。もちろんそれはゼネコンに
やっていただくことになるが、新規事業は抑制していかざるを得ない。しかし今
まで培った日本のノウハウ、技術、人。こういったものを無限の可能性が広がっ
ている海外市場により出していく中で、海外展開もしっかりやっていただく。そ
のための支援を我々もやっていきたい。具体的にはODAとどう結びつけていく
か。それと、今まであまりやってこなかった、政府によるトップセールス。新幹
線、高速鉄道、下水道整備の仕組み、効率的な都市環境の整備も含めて、しっか
り国とタイアップして海外展開が行われるよう努力したい。
―観光誘致促進について。
前原 観光は、最も力を入れている一つ。柱を三つ立てて成長戦略会議で議論
していただいている。いよいよ実行に移す時が来るのではないかと思う。まず一
つは、インバウンドを増やす。海外に日本から行く人は1700万人。しかし海
外から日本に来る人は835万人。これを逆転させる。今まで自民党政権では2
020年までに2000万人の目標を立てていたのを、2016年までに200
0万人、2019年までに2500万人ということで、前倒しの計画を立てた。
これをぜひ実現したい。そのターゲットは中国、アジア。特に中国に対して課し
ているビザの発給制限。団体客でないと駄目とか、所得制限、残高証明。こういっ
たものについては他省庁と連携しながら、緩和の方向で進めたい。二つ目は省庁
連携ということで、様々な観光を企画し、広めていきたい。アグリツーリズム(
農場で休暇を過ごすこと)やエコツーリズムとか、メディカルツーリズムとか。
温泉につかるだけでなく、様々な形でのツーリズム。海外から日本に来て、高度
先進医療を受けていただくような施設を、例えば関空の近くに設けて、関西エリ
アの医科大学、医学部と連携する中でしっかり定着させることも大事。諸制度の
見直しも含めて、各省間の新たな観光連携をつくり上げたい。三つ目は社会実験
をする予算計上をしたが、休日の平準化。ピークに全国で固まってしまうと、旅
館もホテルも取れない。しかしオフシーズンでは稼働率が低いというのが今の状
況。そうなると正規雇用がなかなか雇えない。アルバイト、非正規が中心となっ
てしまう。地域によってゴールデンウィークなどをずらすことで、平準化し正規
雇用が増える、あるいはトータルとしての観光需要が増えるということで、より
お金が使われるような状況をつくっていくことも大事。私が本部長で各省の副大
臣に入っていただいている観光立国推進本部で、文科省と話をして、学校の休み
を地域ごとにずらしていただくことにご理解をいただかなくてはならない。お父
さんの仕事はそこで有給を取ってもらうということで、国内観光の平準化を図っ
ていく社会実験をしっかりやって、定着させるように行っていきたい。
―環境にやさしい住宅・街づくりについて。
前原 国家戦略局あるいは農林水産省などと連携して、住宅エコポイントの創
設や、国内材を使った住宅の促進に力を入れていこうと考えている。また日本人
の亡くなる場所は病院が一番多い。約8割が病院で亡くなられている。病院は病
気をなくすところであって、死ぬところではない。厚生労働省は自宅で終末医療
を考えているが、少子化や核家族化が進む中で、なかなかそれができない。医療
と介護が今、混在している。介護がなかなか充実していないために、介護で本来
やるべきサービス提供を医療でやっていて、それがトータルの医療費を高くして
いる部分がある。高齢者向けのケア付住宅をしっかりつくっていくための努力を
していく。例えば公団住宅も含めて、あるいは地方の公営住宅も含めて、空き家
が出てきたところを改装する。PPPの手法を導入して、1階をデイサービスセ
ンターや訪問医療ができる出張所にして、エレベーターを付け、できるだけバリ
アフリー化する。高齢者の方に住んでいただく中で、医療や介護が住居と近いと
ころで受けられる環境をつくっていくこともやっていかなければと思っている。
他省庁と連携しながらケア付高齢者住宅をどう提供していくかを、つくり上げて
いきたい。
■なくてはならない建設業に 淺沼健一全国建設業協会会長語る
公共投資が減少し、企業の経営環境が厳しさを増す中、全国建設業協会の淺沼
健一会長は、景気の二番底を懸念するとともに、年度末に向けて「自殺と失業、
そして倒産が増加しないか」と危惧する。地域建設業のあるべき姿については「
地域経済にとってなくてはならない建設業を目指す必要がある」と語り、今後の
日本の国土づくりには「社会資本整備に対する明確なビジョンが必要」と話す。
-現在の経済状況と今後の見通しは
淺沼 統計値だけを見ると持ち直しているといわれているが、雇用情勢の悪化
や需給ギャップが40兆円、デフレ懸念などを考えると、回復基調にあるとの実感
はまったくない。今後についても、様々な景気下振れ要因があり、二番底の懸念
が払拭されていない。
-建設産業に関しては
淺沼 小泉内閣以降、公共事業が削減される中、公共事業に依存せざるを得な
い地域の建設業界は塗炭の苦しみに喘いでいた。今年度に入り、過去最大の公共
事業の前倒し発注などでやっと一息つけたと思ったが、新政権が打ち出す政策に
より不安の声が多く、全国9ブロックでの会議でも来年度概算要求基準が発表さ
れた後、会場の雰囲気が変わった。今後、補正予算の執行停止と新年度の概算要
求基準により、中央の金融機関が建設業界に対する融資姿勢を硬化することが懸
念される。年度末に向けて、自殺と失業、そして倒産が増加しないかと危惧して
いる。各企業の経営環境が厳しくなる中、除雪作業や災害時の対応などこれまで
と同様の地域貢献を維持できなくなる恐れがある。-地域建設業が果たすべき役
割とあるべき姿は
淺沼 建設業は、国内総生産・全産業就業者数の1割弱を占める基幹産業。特
に地方圏においては、建設投資の規模や建設業就業者の割合、そして公共投資へ
の依存度が都市部に比べて相対的に高い。安心・安全な暮らしの確保や環境保護、
社会資本の維持管理など社会資本整備に果たす役割は大きい。コンプライアンス
の徹底や企業の社会的責任への取り組みの強化など経営的手法を磨き、地域経済
にとってなくてはならない建設業を目指す必要がある。
-新政権に対しては
淺沼 多少の混乱や政策の転換は当たり前。しがらみが切れた新しい政権だか
らこそできることに期待している。公共調達システムについても、予定価格のあ
り方や上限拘束性の撤廃など、国民の目線に立ち冷静に、前向きに議論すること
も可能だろう。
-今後の日本の国土づくりについては
淺沼 国際競争や少子高齢化など社会構造の変化に対応した、中長期的な社会
資本整備方針を早めに策定することが重要。先人の資産を引き継ぎ、活かし、質
を高め次世代に引き継がなければならない。国家財政の正常化という命題の中、
限られた公共投資の中で目指すべき国土を示した、社会資本整備に対する明確な
ビジョンが必要だ。
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『編集後記』
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新年度予算案に位置付けられた一括交付金。国交省某幹部は、道路・河川・
港湾といった縦割りの「ミシン目」がゼロになった場合、公共工事に関する県
庁内の各部局間調整がガラリと変わるとみています。
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<発行>
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