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●週刊メールマガジン バックナンバー 2009年11月09日発行分
━━━━━━━━━━━■ 週刊・建設ニュース ■━━━━━━━━━━━
                          2009/11/ 9 No.335
                          (毎週月曜日発行)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本工業経済新聞社
                     https://www.nikoukei.co.jp/


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■業界20万社維持は無理 前原誠司国土交通大臣インタビュー

 国土交通省の前原誠司大臣は5日夜に建設専門紙の共同インタビューに応じ、
現行の総合評価方式と経営事項審査を抜本的に見直すとぶち上げた。総合評価
については技術点の付け方が「ブラックボックス」になっているとし、選定過
程の透明化が必要という認識を示した。経審に関してはペーパーカンパニーが
高得点となることのないよう、努力している会社が報われる仕組みが必要と話
している。また現行の建設業界実質20万社を維持することは無理と断言。転業
支援を行う考えを語った。


 ―来年度予算概算要求で公共事業費14%減が打ち出され、業界に不安が広がっ
ているが。
 前原 まずは今、日本の置かれている現状についてどういう認識を持つのか
ということが、大前提。私はよく三重苦と言っているのだが、人口減少、少子
高齢化、莫大な財政赤字。こうした中、持続可能な社会にするために何をした
ら良いのか。政権交代の時にコンクリートから人へ税金の使い道を変えると言っ
た。公共投資を減らして、社会保障や少子化対策、人材育成にお金をかけてい
くと約束した。その中で私が国土交通大臣に指名され、それをやっていくこと
になった。今回は14%減だが、これほど下げるかどうかは別にして、公共事業
の縮減傾向はこれからも続いていかざるを得ない社会状況だと私は思う。イン
フラは造ったら維持管理にお金がかかる。道路だって毎年2兆2000億円く
らい、維持管理にお金がかかっていることを考えた時に、新たに造るとまたメ
ンテナンスにお金がかかる。日本の置かれた三重苦を考えると公共投資は抑制
せざるを得ない。
 ―では、これから建設業界はどうしていくべきか。
 前原 50万社余りといわれているが、そのうち30万社くらいは建設業登録は
しているが、実際に仕事はあまりできていない。そうすると20万社がどうなっ
ていくのかということだが、ここはまだまだ縮減していかざるを得ない。今回
の緊急雇用対策本部で私が言ったのは、建設業者の転業支援、転職支援をしっ
かりやっていくということ。農業、林業、観光、介護、福祉などに転業をいか
に図るかをこれからバックアップしなくてはならない。ただ世界のマーケット
をみれば、建設業界は成長産業。日本の公共投資は、おそらく民主党政権でな
くても、減らさざるを得ない状況になっただろう。世界では成長分野だからこ
そ、国土交通省成長戦略会議で、ゼネコンの国際展開をいかに支援していくか
をテーマの一つにした。高速道路、下水道のシステム、新幹線、リニア、こう
いったものを海外に輸出し、ゼネコンは内弁慶ではなくて外で仕事をしてもら
う形にしていく。地域の建設会社と、縮まっていくパイをたたき合って、奪い
合うことがないような状況にしていく。公共事業は申し訳ないけど、これから
も減る。これは、建設業者が憎くてやるわけではない。三重苦を考えたら、ど
の政権がやっても必然。その中において転業支援をしていくのと、スーパーゼ
ネコンの国際展開をしっかりやっていく中で、建設業の支援体制はとっていく。
 ―海外に出る力のない中堅ゼネコン、中小企業はどうするべきか。
 前原 20万社は無理。生き残りをかけて頑張るか、あるいはほかの業種に転
換するか。それをやってもらうしかない。借金をして公共事業だという時代で
は、まったくない。使うべきところは医療、介護、少子化対策。必要なインフ
ラはやるが、維持管理にお金がかかる。甘いことを言って延命させるよりは、
腹を決めて、この業界に生き残ると。本当に生き残るところは、強くなってい
く。実質20万社の体制は、これから厳しい。そこで生き残っていくためのノウ
ハウ、人材を確保していくところと、そうではないところは転業、転職、兼業
をやるという頭の切り替えが必要。
 ―事業量が減ると、少ないパイを取り合うことで、労働者の賃金にしわ寄せ
がいくことも考えられるが、対策は。
 前原 今の入札制度で考えなくてはいけないところが沢山ある。例えば今考
えているのが、総合評価方式って本当に良いのかということ。極めてブラック
ボックスになっている。果たして点数の付け方が本当に客観的なのか、公正な
のか、わからない。結果的に公益法人などが仕事を取っているケースが、かな
りある。総合評価方式のあり方の見直しをしていかないといけない。それと経
審。点数が高い会社がランクが上で、仕事が取りやすいということで良いのか、
根本的に問いかけていかなければいけない。例えばペーパーカンパニー。人は
持たない、機材は持たない、リスクは持たないと。当然、経審の点数は高い。
経審というものが、果たして公平なのか。努力をしている会社が報われる評価
方式にしなければいけない。またいかにダンピングを防止していくかも、考え
なければならない。
 ―総合評価を否定するということか。
 前原 否定はしないが、いろいろおかしな総合評価が多すぎる。結果的に、
天下りを受け入れている公益法人が、民間でもできる仕事を取っている。道路
保全技術センターの空洞化調査などはその典型。また、コスト圧縮の努力をもっ
としてもらわなければいけない。例えば今、鉄道局に指示し、検証しているの
は、整備新幹線。長野から金沢の工事をやっているが、平均落札率98%など。
談合体質がまだ残っている。14%減らしたら、14%の公共事業が減るのではな
い。価格の高いものを圧縮する努力をしたら、事業量は変わらない。そういう
ところを建設業界にどう考えてもらうか。単価を圧縮する努力をしてもらわな
いといけない。何だかんだ言って、まだまだ談合の温床は残っているのではな
いか。公共事業費が高止まりしているのではないか。建設業界もコペルニクス
的に発想を変えてもらわないといけない。
 ―総合評価の見直しの方向性は、ブラックボックス化しているところをクリ
アにしていくということか。
 前原 選定過程が不透明になった気がする。私が見てきた公益法人がらみの
事例は、いかにも怪しい。天下りがいるところに評価点を高くして、仕事を取
らせる道具に総合評価方式を使っている。総合評価をどう検証していくのか、
勉強をしている。関係部局にも1カ月以上前に指示を出している。
 ―公共工事の品質確保のあり方については。
 前原 最低制限価格を設けることも、ひとつのやり方かもしれない。過度の
ダンピングを防ぐ。パイが減り、無理矢理に取って、お互い沈んでいくことの
ないように、例えば一時的な方策として国の行う事業について最低制限価格を
設けることなども考えられる。


■事業仕分けを11日から 行政刷新会議

 行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫内閣総理大臣)が設置したワーキンググルー
プ(WG)が、11日から事業仕分け会議を行う。一般公開とともに、インター
ネットでも同時中継される。開催日は第1弾が11日、12日、13日、16日、17日。
第2弾は24日から4日間連続で行われる。会場は東京・新宿の国立印刷局市ヶ
谷センター。
 WGは3チームが編成されている。第1WGは国土交通省、総務省、財務省、
環境省などの事業仕分けを担当。第2WGは外務省、厚生労働省、経済産業省
など。第3WGは文部科学省、農林水産省、防衛省などを担当する。これまで
は各省に対して事業内容などの聞き取り調査を進めてきており、11日からの会
議において事業継続・廃止の判断を下す。
 事業仕分けでは、事業目的が社会的ニーズを反映していないもの、事業執行
実績が低調に推移しているものは廃止される。他省庁で類似の事業目的の取り
組みがあるもの、緊急性の低いもの、民間で取り組めるような事業も廃止の方
向となる。


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               『編集後記』
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 建設産業政策は転職支援(前原大臣)。はっきり言って、空前にして絶後の
大臣であることは間違いないと思われます。気になったのは、公共事業費14%
削減でも、高コスト体質を改めれば、事業は減らないと言及した部分。一方で
ダンピングはだめと言っているわけですが、コスト縮減との兼ね合いは、予定
価格、落札率も含めて理論の整理が必要では。
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<発行>
㈱日本工業経済新聞社 メルマガ編集部
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