〈耳寄り〉高校と建設業の間にギャップあり
富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)と建設業振興基金(東京都港区)が主催し、教員免許状更新講習の一環として、8月に工業高校の教員などを対象に初めて行った実務施工体験研修では、受講したほぼ全員が「とてもよかった」と回答したことが分かった。
参加した先生からは、「研修を経て、以前より自信を持って生徒と関われているのが実感できる」「初心に返ることができた」「研修に参加して建設業に対するイメージが変わった」「多くの収穫があった」「知らないことの多さを痛感し、いっそう学習意欲が湧いた」などの感想が寄せられている。
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一方で高校生と建設企業との考えのギャップが大きいことが、あらためて浮き彫りになった。例えば「生徒は職場環境、休暇を聞いているのに、企業は施工実績、技術力を説明することが多い」「高校生はやりがいを求めている。きついことは知っている」といった具合だ。インターンシップや応募前見学など企業側の取り組みを評価しつつも「実は進路を決める段階で一番苦しんでいると思う。要するに専門の職に就きたいが、どんな職種があるのかという点は、よく分からずにいる」との指摘も出ている。
しばらく建設業からの求人が途切れていたため、「今、送り出した場合、すぐ上の人との年齢差が大きく意志疎通が心配」としながら、「休日、福利厚生や新人教育をしっかりしているところには生徒を送り込みたい」との本音も見え隠れする。
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建設業界が人手不足にあることは、工業高校の先生も生徒も知っているという。ただし建設業界が今、どのように変わろうとしているのかは理解していないとの声があった。まさに率直な感想だろう。建設業は長時間労働や事故の多さが原因で人手不足にあって、いまだに改善されていないと感じてしまっている可能性がある。働き方改革などを通じて建設業が魅力ある産業に生まれ変わろうとしていることを、これから入職しようとする高校生をはじめとする若者から理解してもらうことが、まずは最優先の課題なのかもしれない。
〈2017/10/13配信〉
この記事は「建設メール」のサンプルです。
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